眠る前に2杯だけ。

カードゲーム(WIXOSS)やアニメマンガ小説についておしゃべりします。

妹さえいればいい。⑦

妹さえいればいい。7 (ガガガ文庫)

僕は友達が少ない」は1巻で挫折した東田ですが、「妹さえいればいい。」は面白い。登場人物達の人間関係を変化させることに躊躇がないというか、基本的にゲームしてたり食事してたりだべってるだけなのに展開がダレてると思ったことがないほどテンポが良い。7巻は回想と、次への溜めの回だと思いましたが、それでも楽しさが損なわれていないのはすごいなと思ったり。ずっとそうですがこの友達とだらだら遊んでる生活良いですよねー。学生の頃友達の家でひたすらスマブラやってたり朝までアニメ観てたりしたのが懐かしい。

 

まぁ今はひたすらWIXOSSしてますけどね!

 

 

 

妹さえいればいい。」は描かれていることがライトノベル作家の日常なので、読んでいると自分のアニメマンガ小説の視聴態度、読書態度を顧みてしまうというか、僕にとってはどうしても自分のことを考えてしまう作品です。特に今巻は(前巻も)笠松さんの言動が突き刺さる突き刺さる。テンプレラノベをバカにして物語性が云々と喚きたてる姿が痛々しい。アンチライトノベル論というか、なんだかやたらライトノベルってバカにされてたりしますよね。やれ文章が稚拙だの、テンプレばかりだの。そういう話題を見かけると心穏やかじゃあいられませんし、そのたびに心の中で*1「ロクに読みもしないで勝手なことばかり……」「ライトノベルにはテンプレじゃない面白い作品もいっぱいある!」と文句をつけるわけですが、我が身を振り返ってみれば結局のところロクに読みもしないでテンプレラノベをバカにしているのは僕だって同じだったりするわけですよ。テンプレラノベとテンプレじゃないラノベを勝手に区分けして、「俺の好きなのはテンプレじゃないラノベ!テンプレラノベはクズ!」と言い張って、自分の「好き」を守るために何かを攻撃している。作中で言っていたように表現がバカみたいなだけ、テンプレだけの作品なんて無いのにね。

 

だって自分の心は守りたいですから……。「好き」は自分の心そのものですけど、「嫌い」は外にある、と思うんですよ僕は。「嫌い」をいくら口にしても、その人にダメージなんていかない。でも「好き」を表現するのはリスキー。だって心を晒しているんだもの。

僕が何かを面白いと言う時、そこにはたくさんの言い訳、予防線が張ってあるような気がします。それに比べて面白くないという言葉の、なんと軽いことか。何も失わず言いたい放題バカにできます。楽です。とても簡単です。今巻では主人公に絶大な影響を与えたらしい天才作家さんのエピソードが回想で語られていましたが、そこにあったネット上で面白おかしくネタにされバカにされて、身を削られていく天才作家さんの姿には心が痛む。自分の「好き」を晒す作家さんには逃げ場は無く、きっと僕もどこかで作家さんを傷つけているのでしょう。嫌な話です。

 

昨年「小説の神様」という小説を読みまして、そこでも小説家が読者の声に傷つき苦しんでいる様が描かれていました。 

小説の神様 (講談社タイガ)

小説の神様 (講談社タイガ)

 

 僕はこれすごく衝撃的でした。これほど読者からの否定が作家を打ちのめすのかと。まとめサイトで見ましたが作者の相沢沙呼さんがこの小説を出版する少し前ぐらいに本が売れなくて辛い、好きな作品ほど売れなさ過ぎて続けられない、という風にTwitterでおっしゃっていたようで、主人公にダブって見えて余計に衝撃的でした。僕は相沢沙呼という作家は好きです。ファンか?と問われると自信は無いですが、少なくとも新刊一覧で名前を見つけると嬉しくなるぐらいには好きです。だからちゃんと「とても面白かった」と伝えたいなと思ったんですよ。僕は誰かがこの小説をつまらないと思うのは止められないし本をたくさん売ることもできない。打ちのめされた作家に何かしてあげられるわけでもない、ならせめてあなたの本は面白いと伝えたい。いや、もはや

伝えなければならない!

そう思いました。何かを否定するなら同じだけの肯定を世界に返さなければいけないなと……。しかし生来内気な性格が災いして*2未だに全然伝えていない。作者に直接は我ながらハードルが高いよ……俺には無理だ……。このblogは色々なきっかけがあって始めたわけですが、実のところ「作品に作者に、肯定を返さなければ……!」という焦燥がその一つだったりします。ネットの片隅で喚くぐらいなら僕にもできるかなと思って。作者に伝わるかというと伝わらないでしょうけど。

 

 

うーん、でも、よく考えると

……言うほどこのblog肯定的なこと喋ってないですね。

いかんよなー。「妹さえいればいい。」を読んで初心を思い出しました……と、取ってつけたようにつなげましたけど、大丈夫ですかね?「妹さえいればいい。」の話はあまりしていない気がする。。まぁ面白いことを面白いという勇気が大切、ということで。

*1:外に向けてアクションを起こせるほど気が強くない。

*2:これまでの人生で災いしかしていない。